ライティング(照明)が設計の精度を高める理由
nTopology の新しい没入型ビジュアライゼーション機能により、アディティブ・マニュファクチャリング用の複雑な構造をより速く、より正確に作成/微調整することができます。それでは、新機能を詳しく見ていきましょう。
Muhammad Farhan
September 1, 2022
正確なビジュアライゼーションにより、エンジニアリングデザインソフトウェアの仮想環境内での生産性を高めることができます。設計を繰り返しながら、自分の決定が最終的なジオメトリにどのような影響を与えるかをよりよく理解することができるのです。そしてもちろん、このような直感的な可視化の必要性は、設計の複雑さが増すにつれてますます重要になります。
たとえばnTopologyで中空シェルの壁に融合するラティス構造を設計する場合、その遷移を必要なレベルで正確に検査することで、不要なミスを避け、製造プロセスや基本となる設計原理に関するノウハウをより効果的に適用することができます。
しかしながら、当社のソフトウェアはインプリシット・モデリング・エンジンをベースにしているため、従来のCADやB-REP、メッシュベースのモデルでエンジニアが慣れ親しんだトリックを適用することはできません。
最近のアップデートでは、nTopologyで生成した複雑なジオメトリの表示能力を大幅に向上させる2つの新しいライティング機能を導入しました。それが3点照明とアンビエントオクルージョンです。
3点照明とは
3点照明は、キーライト、フィルライト、バックライトの3つの位置から光源を照射して環境内の物体を照らす、クラシカルな手法です。
nTopologyの新しい照明方式は、白のキーライトと複数のオレンジ・青のフィルライトとバックライトをオブジェクトの周りに慎重に配置した改良型3点照明方式で、よりリアルな可視化体験を提供します。これらの調整は、ユーザーの主な用途に最も適したソフトウエアのライティングを実現するために行いました。
旧バージョンのnTopologyと新しい3点照明方式で照明したモデルのビフォーアフター例。
新しい3点照明は、nTopユーザーが抱えていた共通の問題に対応するものです。ユーザーテストの結果、従来の照明では、多くの角度でモデル内の隣接するフィーチャがブレンドして(くっついて)いるように見えるため、識別するのが容易でないことがわかりました。
3D CADでおなじみの”ワイヤーフレーム”オーバーレイ表示モードがないため、モデルから最適な視覚的洞察を得ることが困難な場合が多々ありました。そのため、nTopユーザーが混乱する可能性があり、意図したとおりのデザインにするためにはビューコントロールをいじる必要があったのです。
アンビエントオクルージョンとは
アンビエントオクルージョンは、環境内のすべてのジオメトリを考慮してオブジェクトの各ポイントを照らす、グローバルな照明方法です。そのため、コーナー部など直接照明の当たらない部分は、暗く影がかかったように見えます。
アンビエントオクルージョンは、奥行き感を与えることで、多孔質構造等の視認性を大幅に向上させます。
nTopologyのアンビエントオクルージョンはシーンにさらなるリアリティを与え、デザインをより魅力的に見せることができます。また、特に多孔質構造やラティスの場合、奥行きが出ることでより情報量の多い視覚体験が可能になります。
以前は、nTopologyで特有なラティス形状を見ると、内部サーフェスが外面にほとんど溶け込んでしまい、構造の見え方を理解することが困難でした。
まとめ
新しいライティング機能は、もちろん、既存のnTopビューイングユーティリティとの相性も抜群です。
セクションカットツールは、新しい照明設定と共に使用することで、部品の内部形状を検査するのに役立ちます。
例えば、セクションカットツールは、モデルの内部を見るのに役立つ最も広く使われているツールの一つです。アンビエントオクルージョンをオンにすると、その特有なラティスの断面が、その下にあるラティスサーフェスからより目立つようになります。ジンバルを使用してビューを操作することで、関心のある領域のすべてを表示することができます。
セクションカットツールと新しいライティングの組み合わせは、熱管理のための熱交換器の設計など多くの用途で、内部ラティスの断面を確認しながら綿密に検査する必要がある場合に有効です。
次のステップ
今後も、より没入感があり情報量が多く、より直感的なモデリング環境を構築するために、ビジュアライゼーションの向上に注力していきます。
このライティングの実装は、お客様のユースケースや設計ワークフローに合わせた、さらなる高度なビジュアライゼーションの改善と機能の基盤を提供します。
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