4つの熱管理トレンドとアディティブ・マニュファクチャリング

業界における真のイノベーターとなるためには、最新のエンジニアリング技術やテクノロジーに精通することが重要です。熱管理に影響を与える4つの業界トレンドと、アディティブ・マニュファクチャリングがどのようにそれらに対応できるかをご紹介します。

nTopology
September 15, 2022



あらゆる産業の製品がより革新的になり、より多くの機械・電気部品が組み込まれるようになってきています。これらの製品の要件はますます高まってきていて、その多くの場合で発熱量が高くなっています。熱管理エンジニアにとってこのような熱は、部品へのダメージを避け、製品の信頼性・安全性・耐久性を確保するために、新たな放熱方法を考えなければならない課題となっています。

熱交換器は、放熱のために製品設計によく組み込まれています。これらのデバイスは、ある流体から別の流体へ熱を伝達し、化学処理、発電所、自動車システムなど、さまざまな用途で重要な役割を担っています。

製品要件に影響を与える最新のトレンドを理解することは、革新的で業界をリードする可能性を秘めた製品を設計することの手助けとなるでしょう。ここでは、熱管理における最大のトレンドと、アディティブ・マニュファクチャリングがどのように競合他社に差をつけるのに役立つかについて説明します。


最近の熱管理に関する最重要トレンド

Puntozeroが設計したEVインバーター用ジャイロイドフローガイド付きコールドプレート。

今日の熱管理は、小型化・高効率化する熱交換器(HEX)を必要とする複数の業界トレンドに影響を受けています。この記事では、電気自動車(EV)や航空機の電動化、自動運転車の台頭、近代化・改修、精密製造・半導体など、熱交換器設計に影響を与える最も重要なトレンドについて探っていきます。


充電スタンドに置かれた電気自動車。普通自動車には1000個以上、EVには2000個以上のマイクロチップが搭載されている。
出典

熱源には、パワーエレクトロニクス、バッテリー、モーターなどがあります。これらの複雑なシステムでは、車両の性能を確保しつつ航続距離を延ばし、また運転寿命を延ばすために、効率的な冷却が必要です。熱の発生源が分かれば、最も効果的な放熱方法が分かります。

熱交換器の設計を改善することは、熱管理をコントロールするための一つの方法ですが、課題もあります。EVや航空機の製品要件が進化すると、熱交換器の重量やサイズなど、新たな設計上の制約に直面する可能性があるのです。

自動運転車のコンセプトの内装。2030年に販売される新車の最大15%が完全な自動運転車になると予測されている。
出典

自動運転車の制御電子機器は、完全自動型であろうとなかろうと、重大な安全係数となります。熱管理の不安定性による誤動作は、交通事故や大けが、さらには人命の損失など、悲惨な結果を招く可能性があります。熱交換器の設計は自動運転車の安全性と信頼性を確保するために重要な役割を担っているのです。

電気モーターを搭載した航空機のレトロフィット。航空機の電動化により、2050年までにCO2、NOX、騒音の排出量を30%削減できると予測されています。
出典

すべての製品が今日におけるパフォーマンス要件を満たす設計とはなっていなかったため、産業機械や航空機などの高価値の資産には最新の熱管理システムを導入する企業が増えています。そうすることでこれらの高価な資産をより長く現場で使用することができ、総合的なパフォーマンスを向上させることができます。

しかし、 モダナイゼーションやレトロフィット には、新たな工学的課題が発生します。今回のような場合では、新しい熱交換器をシステムに導入することでより高い伝熱性能を、同等またはより小さなスペースでのさらなる軽量化を実現することが求められることが多くなります。

半導体製造におけるシリコンウェハー。 アディティブ・マニュファクチャリングによるシリコンウェハー テーブルは、温度均一性を33%向上させることができる。

近年、サプライチェーンの混乱により、多くのメーカーが米国や欧州に新たな生産拠点を設立しています。土地代や人件費などのコスト増の対策としても、これらの施設はより高い効率で運用されなければなりません。

しかしながら熱管理は生産性のボトルネックとなることが多く、効率化を目指すメーカーにとって課題となっています。例えば、射出成形や熱成形において熱流はスループットと製品品質の両方に大きな影響を与えます。半導体製造では、ステージ間のウェーハ熱処理にかかる時間が、1日に生産するチップの数を大きく左右します。

このような熱管理の課題を確実に克服するためには、次世代の熱交換器を生み出すために必要なツール、技術、テクノロジーにアクセスする必要があるのです。


アディティブ・マニュファクチャリングが熱交換器設計にもたらすもの

燃料冷却式オイルクーラー
航空宇宙用途にコンパクトに設計され、ジャイロイドコアを採用したアディティブ・マニュファクチャリングに最適化されたモデルとなっている。

ここまでに説明したように、さまざまな傾向によってますます高度で高性能な熱交換器の必要性が高まっています。そしてより効果的な熱交換器を開発する方法の一つが、アディティブ・マニュファクチャリング (AM) です。

複雑なラティスの構築

同じスペースにより多くの伝熱面積を確保することで、伝熱効率を向上させることができます。

新しい形状最適化テクノロジーを適用
熱交換器を一体のボディで製作

より良い熱交換器を設計するためのソフトウェア

nTopologyによる先進的な熱交換器設計。

AMを最大限に活用するには高度なエンジニアリング設計ソフトウェアが必要です。nTopologyは、アディティブ・マニュファクチャリング用の最も強力なエンジニアリング設計ソフトウェアです。AM熱交換器の制御と微調整を可能にする、比類ない深みのある機能にアクセスできます。

nTopologyの主な熱管理に関する機能は以下のとおりです。

  • 数十億要素まで拡張可能な業界最先端のラティス設計にアクセス可能。
  • 線形、非線形、熱応力、過渡熱解析により、熱交換器および周辺部品の熱性能を迅速に評価。
  • 新しい設計候補を生成し、メッシュを作成してDiscovery Liveに送り、高速なイテレーションやCFDコードを作成して仮想検証を実行。
  • STLファイルサイズの制限を回避するため、インプリシット・ボディから直接マシンデータをスライスしてエクスポートしたり、メッシュを公差や閾値まで簡略化してSTL、OBJ、3MFとしてエクスポート。
  • ブーリアンユニオンですべてのフィレット半径を制御し、重量を正確に計算。
  • 熱マップや流れ場からフローおよびサーマルガイドを生成し(フィールドドリブン・ピン&フィンなど)、仮想バッフルを使って流れを過度に制限することなく制御可能。

アディティブ・マニュファクチャリングとnTopologyのような高度なエンジニアリング設計ソフトウェアを組み合わせることで、優れた信頼性と性能を持つコンパクトな熱交換器を開発することができます。


キーポイント

  • EV、自動運転車、モダナイゼーション&レトロフィット、精密製造、半導体など、多くの産業トレンドは、ますます高度な熱交換器を要求しています。
  • アディティブ・マニュファクチャリングは、このような複雑化する要件を満たすために熱交換器の設計を最適化するのに役立つ、多くの利点を備えています。
  • 適切なエンジニアリング設計ソフトウェアを使用することで、熱交換器の性能を最適化し、最新の業界トレンドに対応するためにアディティブ・マニュファクチャリングの利点を最大限に活用することができます。